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佐世保港 練習船の寄港定着

 長崎県の佐世保港はここ数年で、航海訓練をする練習船の寄港地として定着している。海上自衛隊や米海軍など軍港のイメージが強いが、休息を取る練習船の船員は市街地や駅に近い利便性の高さに魅力を感じている。国際クルーズ客船やフェリーを含め、多様な船舶が集まる港へと変わりつつある。

 1月29日、佐世保港の新みなと岸壁に大型帆船の練習船「海王丸」が優雅な姿を見せた。3度目の寄港となる航海士の岡あや乃さん(28)は「こんなに街が近くて便利な港はほかにない。船員の間で佐世保は人気が高い」と笑顔で話す。

 港の歴史は1889年の旧日本海軍佐世保鎮守府の開庁とともに始まる。戦後も米海軍や海自が基地を配置。現在も約8割は米軍艦船の航行が優先される制限水域となっており、「立ち寄りにくい特殊な港とみられてきた」(佐世保市港湾部)。

 一方、港周辺は大型商業施設「させぼ五番街」や岸壁の整備が進み、人でにぎわう街並みに変化。市は2012年から船員養成を事業とする独立行政法人「海技教育機構」(横浜市)の練習船の誘致に本腰を入れた。日本と韓国の水産高校や海洋大学の練習船も目立つようになり、14年まで年間1~3隻だった寄港は、15年度から8~10隻に伸びた=グラフ=。市港湾部は「機構以外の練習船は船舶関係者の口コミで評判が伝わっているのではないか」とみる。

 海洋で訓練する練習船は、主に休息や物資補給を目的に寄港する。1隻当たりの船員数は最大200人規模。佐世保港には5日程度滞在するケースが多く、15年度の延べ船員数は7千人に達した。

 機構の船員は船外泊が認められ、市街地で飲食や買い物をするほか、JRなど公共交通機関を利用して小旅行も楽しんでいる。市港湾部の神崎良平部長は「実習生にいい印象を持ってもらえれば、将来、船長になってリピーターになるかもしれない。今後も練習船の誘致や観光PRに力を入れたい」と話している。